2025/12/23のレジデントデイは、事例検討とダニ媒介感染症についてのレクチャーでした。

1症例目は、発熱と全身の紅斑を主訴に来院した66歳男性。四肢・体幹に丘疹状紅斑を多数認め、手掌にも及んでいました。血液検査でCRP上昇、血小板減少、肝障害を認めたことからリケッチア感染症を鑑別に挙げ、病歴を再聴取したところ、受診の11日前に海辺の草むらの中を歩いたというエピソードがあったことが判明しました。そこで全身を隈なく診察したところ左腋窩に刺し口を発見し、保健所へ血液検体および同部位の痂皮を提出し、Rickettsia japonica PCR陽性が判明、日本紅斑熱の確定診断となりました。本症例ではテトラサイクリン系抗菌薬を使用し軽快が得られました。日本紅斑熱の類縁疾患としてツツガムシ病が挙げられますが、発生時期や皮疹の性状、刺し口周囲のリンパ節腫脹の有無などが鑑別のポイントとされています。また、発熱・皮疹を呈する症例の鑑別において、VS WATERは重篤疾患の見逃し防止に有用です。
V: Vibrio vulnificus
S: spleen
(Pneumococcus, H. influenzae type b, Meningococcus, Capnocytophaga)
W: Waterhouse-Friderichsen = Meningococcemia
A: Anaerobe (Clostridium perfringensなど)
T: toxic shock (Staphylococcal/Streptococcal)
E: endocarditis
R: Rickettsia
2症例目は、マダニ咬傷後に発熱、腹痛、嘔吐、下痢を主訴に来院した68歳女性。1週間前にハイキングに行き、マダニが足に付着しているを自ら発見、皮膚科受診し刺し口切除の上、ドキシサイクリンを処方されました。しかしその後発熱、消化器症状が出現したため当院受診されました。SFTSやツツガムシ病の可能性も考慮されましたが、採血では血小板減少や肝障害は認めず、相談の結果アジスロマイシン処方で帰宅となりました。その後のフォローでは症状軽快を認めています。SFTSには特異的治療は存在せず、DICや血球貪食症候群、侵襲性肺アスペルギルス症など合併のリスクもあり、時に致死的となります。SFTS含むリケッチア症は、西日本エリアに多いとされており、不明熱や皮疹、血小板減少、肝障害などを認めた際はリケッチア症を鑑別に挙げ、早期に抗菌薬加療を検討する必要があります。
参加者(敬称略):宮川、大西、堤腰、豊田、山形
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