京都家庭医療学センター

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Kyoto center for family medicine (KCFM)

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KCFMグループ会議と望年会報告

 2023/12/09(土)に 定例隔月のKCFMグループ会議をハイブリッドで開催しました。
真面目に、専攻医のPFについて検討を行い、その後は、リラックスして望年会で交流することができました。KCFMとしては、新年会はしていましたが、望年会の開催は初めてだったかもしれないです。また、新型コロナ禍が始まってからは、初の懇親会でした。初めてマスク無しで対面するメンバーもいて、まじまじと顔を見合うこともありました。子どもたちも自由にくつろぐことができたようです。
可愛いお子さんたちのいる女性医師から提案があり、今回は子ども達も参加しやすい「会議室」での懇親会となりました。デジタル・ネイティブのZ世代にも、昭和世代の指導医にとっても貴重で有意義な時間となりました。また、このような形でも懇親会が開催できると良いですね。            

 現地では、専攻医4名、指導医6名の他に、初期研修医の先生1名がゲスト参加され、オンラインでは、専攻医2名、指導医2名が参加しました。
6名の専攻医の方々が、ポートフォリオ(PF)(作成中)を発表し、フリーディスカッションを行いました。「臨床における教育と指導」について2名が発表してくれました。海外出身で急性期医療を志向する医師の地域医療研修では、頻回に面接を行い、個別の目標、研修内容の微調整を行い、当該医師の研修目標到達を支援されていました。また、地域医療研修の目標設定の更新が必要であると認識し、研修プログラムの地域医療研修・目標の改訂につながりました。また、初期研修医の地域医療研修での教育指導の取り組み、質の改善についてPFとしてまとめていただきました。初期研修医の知識だけでなく、技能、態度も含めて系統だった研修計画、評価を行った教育指導を通して、自分自身の省察を深め、初心にかえる重要性を認識した経験を発表していただきました。
「倫理的に困難な意思決定を伴う事例のケア」では、同意能力が低下した認知症のある高齢者の医学的な意思決定について、ガイドラインに基づき、多数の重症疾患を抱える高齢患者さんの最善のために多職種協働で関わった経験について発表していただきました。
「複雑困難事例のケア」では、アルコール依存症、心疾患、肝疾患、経済的困難、スタッフへの暴力歴など多数の問題を抱えた方に対してクネビンフレームワークを活用して、事例を整理しつつ、精神科へのコンサルト、多職種協働アプローチが行われました。断酒が困難で、精神科受診も拒否されるためハームリダクションアプローチの方針で、患者を一切責めずに、生活背景に注目して減酒アプローチを徹底して、手作りの飲酒日記を作成するなど頻回の外来フォローで信頼関係を構築、維持できた経験を発表していただきました。
在宅医療認定専門医研修の専攻医は、自分が行った臨時往診の実態調査について発表。主訴、属性、頻回の往診患者さんの分析がされていました。
事例報告にとどまらず、ポートフォリオでは、ルーブリック(評価基準)を踏まえながら、高いパフォーマンスを発揮し、かつ内省を深めて、学びを言語化することが求められています。学習者も指導者もより深く学ぶことができることを改めて実感しました。ゲスト参加してくれた初期研修医にとっても、家庭医療にふれるよい機会となったようでよかったです。
複数の指導医、専攻医がディスカッションすることで多様な意見、視点、知識についても共有でき、刺激をうけあい、成長が加速していきます。現時点でも十分ハイレベルではありますが、2月のP-FES2024(近畿家庭医療・総合診療専攻医ポートフォリオ発表会)に向けて、さらに練っていきましょう。

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文責)KCFM代表 ふくちやま協立診療所 寺本 敬一