京都家庭医療学センター

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Kyoto center for family medicine (KCFM)

トピックス

Management of Heart Failure

JAMA Clinical Guidelines Synopsis 

ガイドラインのタイトル

2022年の米国心臓病学会 (ACC)/米国心臓協会 AHA)/米国心不全協会 (HFSA) による心不全の管理のためのガイドライン

リリース日

 2022年4月1日

以前のバージョン

 2017年に発表されたACC/AHA/HFSAによる2013年のACCF/AHA心不全管理ガイドラインおよび2013年のACCF/AHA心不全管理ガイドラインの焦点を絞ったアップデート

開発者および資金源

 ACC/AHA 臨床診療ガイドライン合同委員会

対象集団

心不全(HF)の診断もしくはそのリスクがある成人患者

主な推奨事項

  1. HF の分類は、駆出率 (EF) と病歴に基づいて4つのカテゴリに分けられる
    • EFが低下した(EF≦40%)心不全 (HFrEF)             
    • EFが軽度低下した(EF 41%-49%)心不全 (HFmrEF)          
    • EF が維持された(EF≧50%)心不全 (HFpEF)             
    • EF が改善された(以前は≦40%であったがその後>40%に改善された)心不全(HFiEF)
  2. EFが低下した慢性心不全患者では、アンギオテンシン変換酵素阻害薬 (ACEI) やアンギオテンシン II 受容体遮断薬 (ARB) よりも、アンギオテンシン受容体ネプリライシン阻害薬 (ARNI) が望ましい。 ARNI の使用が不可能な場合、重大な咳や血管性浮腫がない限り、ARBよりもACEIが優先される(クラス 1、エビデンスレベル [LOE] A)。
  3. ナトリウム-グルコース共輸送体 2 (SGLT2) 阻害剤は、すべての心不全患者に推奨される (EFが低下した症候性 HF [クラス1、LOE A]; EFが軽度低下したHFおよびEFが維持されたHF [クラス 2a、LOE B-R]) 。
  4. EFが改善された心不全は、EFが低下した時点で受けていた医学的治療を受け続ける必要がある (クラス 1、LOE B-R)。
  5. EFが維持された心不全のエビデンスに基づいた治療としては、血圧コントロール (クラス 1、LOE C-LD)、SGLT2 阻害剤(クラス 2a、LOE A)、ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬(MRAs)、ARBs、および ARNIs (クラス 2b、LOE B-R) が含まれる。

コメント

 新たに、心不全の分類を4つに分け、HFrEF、HFmrEF、HFpEF、HFiEFとなった。

 HFrEFには、ARNI>ACE>ARBを推奨。(これで、HFrEFの治療としては、ファンタスティック4=βブロッカー、MRA、SGLT2、ARNI>ACE>ARB)

 SGLT2は全ての心不全に推奨(特に症状のあるHFrEF)。

 HFiEFの治療として、EFが低下していた時の心不全治療薬の継続を推奨。

 HFpEFについては、血圧管理+SGLT2+MRA+ARB/ARNIが推奨。(2020のEMPEROR-Preserved trialによってSGLT2の心不全による入院と心血管死の抑制がclass2a, LOE Aで認められ、MRAとARB/ARNIは心不全による入院抑制効果がclass2b, LOE B-Rで認められた)