京都家庭医療学センター

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Kyoto center for family medicine (KCFM)

トピックス

第3回ジャーナルクラブ:Ambulatory care-sensitive conditions(ACSC)高齢者の入院率の分析

 本日のレジデントデイは6名で行いました。ジャーナルクラブではPotentially Preventable Hospitalizations Among Older Adults:2010-2014(Ann Fam Med 2020;18:511-519)について高木先生が発表して下さいました。Ambulatory care-sensitive conditions(ACSC、適切なタイミングで効果的なケアをすることで入院を減らすことができる状態)について2010年と2014年の状況を比較した論文で、予防可能な入院率は全米レベルでは減少しているが、社会経済的および人種民族的要素により傾向が異なる、つまり、男性より女性の方が、白人より黒人やヒスパニック系の方が、低収入の方が、人口当たりのプライマリ・ケア医が少ない方が、人口当たりの病院の数が多い方が、メディケイド登録者の方が、予防可能な入院率が高いことが示されていました。また、予防可能な入院率の増えた郡の8割は小さな貧しい農村地域で、特に農村部や低所得地域においてプライマリ・ケアへのアクセスを改善することの必要性が説かれていました。ディスカッションでは米国の医療制度や保険制度についての質問が出たり、予防可能な入院の抽出方法に疑問が出たり、日本でも医療の質を評価する研究が必要だろうとの意見が出たりしました。ACSCはプライマリ・ケアの質を評価するのに大切な概念だと思われ、今後も注目していきたいと思いました。
 また、大庭の小児領域のポートフォリオについて相談させていただき、移行期医療における家庭医果たす役割について焦点を当ててまとめていくようご意見をいただきました。

キーワード:レジデントデイ、ジャーナルクラブ、Ambulatory care-sensitive conditions(ACSC)、予防可能な入院
記事作成者:大庭まり子