京都家庭医療学センター

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Kyoto center for family medicine (KCFM)

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ACP(アドバンスケアプランニング)ってなんだろう?

夏期セミナーの様子
夏期セミナーでのワークショップの様子

 日常臨床の中で、大きな病気が発生してから、急変時はどうするのか、食べられなくなったらどうするのか、行き先をどうするのか、迷う患者や家族が多いと日々感じています。『こうなってから考えるのはみんながつらい』と率直に思うことがとても多いのです。病気を持っていたとしても、患者さんの人生を幸福なものにするため、医療や療養について本人、家族、医療者が少しずつ話し合いを進めていく。そのプロセスがアドバンスケアプランニングです(日本老年医学会)。一人ひとりの医療介護者が、患者さんの人生における最善のケアを考え、患者さんや家族と話し合っていけるようになればと思います。まだまだ発展途上の考え方ですが、これまで院内やPC連合学会夏期セミナーなどでワークショップを開催し、いろいろな方々から意見をいただきました。以下にその意見の一部を記載しますので、参考にしていただければ幸いです。

■開催セミナー:
2017年2月17日KCFMセミナー 京都民医連第二中央病院(現・あすかい病院)
2018年8月5日第30回PC連合学会夏期セミナー『ACPって何?』
2019年8月4日第31回PC連合学会夏期セミナー『ACPって何?』
■参加者の感想:
・参加者と人生観について語り合えて楽しかった
・自分に当てはめて考えてから、アドバンスケアプランニングについて説明があったことで、頭に入ってきやすかった。
・色々な価値観や背景によってACPの捉え方が異なることを知ることができ、医療者でも共通認識がない中で、ACPを考える難しさを感じることができた。
・自分の考えが再確認できる
・地域の方々に終末期について考えてもらう機会を設けることが大切だということに気づけて良かった。
■事前指示書に含むべき内容
・急変時どうするか 延命治療をするか
・酸素をどうするか
・どこで最期を迎えたいか
・どのように最期を迎えたいか
・代理決定が必要なとき誰にしてほしいか(キーパーソンを誰にするか)
・食べられなくなった時どうするか(胃ろうや輸液をしたいか)
■価値観や人生観について聞いておくべき内容
・どんな人生を歩んできたか
・どんなふうに暮らしていきたいのか、生きたいのか
・どんなことをしたいか(あるいはさせてあげたいか):意思決定できなくなった時や、思うように動けなくなった時も含めて
・家族図、家族関係
・経済状況はどうか お金があればどう使いたいか
・価値観や宗教はどうか
・大きな病気を告知してほしいか、予後を知りたいか
・できるだけ在宅で過ごしたいのか、あるいは施設で過ごしたいのか
■これらを聞くときに心がけること
・急変を話題にするときは「(世の中には一般に)突然死もありうるよ」と伝えたうえで
・意思は変わるという前提で、どうしたいかを聞く
・伝えられた内容をどこまで理解しているか、を確認する
・(希望について)なぜそう考えるか、の根拠を聞く(人生観や死生観を含めて)
・友人や親類が病気にかかり、その話題が出たタイミングで聞く ・『かきかえ』⇒家庭医療学における解釈モデル を利用する

記事作成者:宮川卓也

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