京都家庭医療学センター

京都家庭医療学センター

Kyoto center for family medicine (KCFM)

トピックス

ポートフォリオ検討

2026/1/20のレジデントデイは、ポートフォリオ検討を行いました。

 1例目

 COPD(在宅酸素療法あり)および肥満を基礎疾患にもつ中年女性に対し、COVID-19感染後の廃用症候群に対してリハビリテーション介入を行った事例です。リハビリの結果、移乗動作や歩行能力は改善しましたが、階段昇降については介助下であれば何とか可能であるものの、安全面を考慮すると危険と判断しました。そのため、退院後は階段の使用を控えるよう説明しました。自宅は2階建てで、夫の仕事場が2階にあり、夫の仕事中は一人で過ごす時間が長くなり寂しいとの訴えがありました。その点については、スマートフォンのビデオ通話を活用するなどの工夫を提案し、最終的には納得していただけました。ディスカッションでは、退院後の生活状況や本人の性格面についての記載があると、読み手がより具体的に状況をイメージしやすくなるのではないかという意見が出ました。また、「寂しい」という発言の背景に、今後の生活への不安などが含まれていないかを深掘りすると、より良いポートフォリオになるのではないかという指摘もありました。

2例目

 医療者と家族との間で病状認識に乖離があったものの、家族カンファレンスを通じて双方が納得できる形で退院に至った事例です。症例は90代男性で、貧血および食思不振の進行により入院となりました。以前からCT所見で胃癌が疑われていましたが、本人および家族の希望により、内視鏡検査は施行されていませんでした。輸血などの加療を行ったものの、全身状態の衰弱は進行し、予後は数週間程度と考えられました。一方で、ご家族は自宅退院を希望され、入院前と同程度の生活が可能であることを期待されており、医療者側の病状認識とは大きな隔たりがありました。家族カンファレンスを開催したところ、「とにかく自宅に帰してあげたい」というご家族の強い希望が確認されました。理学療法士が介入しADL回復を試みましたが、ポータブルトイレへの移乗動作を獲得するまでには至りませんでした。低ADLの状態で自宅生活を送ることには一定のリスクが伴いますが、最終的にはご家族の希望を尊重し、自宅退院とすることで合意に至りました。ディスカッションでは、本人や家族の人物像についての記載が加わると、より良いポートフォリオになるのではないかという意見が出ました。

参加者(敬称略):山田、宮川、西澤、奥田、大西、本多、山形

#KCFM #京都 #レジデントデイ #リハビリテーション #家族志向のケア