7月2日のレジデント・デイ
前半は輪読会で、マクウィニー家庭医療学上巻の8章”医療の方法”の家庭医療のコンテクストからルーチンの探索までを読みました。家庭医と単科の専門医の診療の違いや家庭医がどのように診断をしていくのかを学びました。
家庭医は病気の初期段階を見ることが多く病気の経過が曖昧であったり、患者さんの心理・社会的な背景が関係していたりと複雑な状況であることが多く、未分化な問題を取り扱うことがあります。医学には不確実性は本来備わっています。家庭医療では探索の終点は診断ではなく、患者さんが意思決定を行う上で十分な情報を得られた時点になります。
私自身も診察を始めた当初は診断が付かないことにモヤモヤや不安を覚えましたが、患者さんと時間を重ねていくことで診断が付いたケースや付かなくてもラポールが形成されることで症状が落ち着いていくケースを経験したことがあり、今回言語化されたものを読んで、自身の診療を再確認するきっかけになりました。
後半はSEAを行いました。今回は関連病院から初期研修医の先生が1名参加してくださったことで大いに盛り上がりました。
2名発表しましたが、1人目が救急外来でのイライラした場面、2人目が病棟や外来でのイライラした場面についてでした。前者は、忙しい救急外来というセッティングで外科疾患の疑いの患者さんは本来外科で診察しても良いはずなのに、担当医が頼りにくいという理由で内科へ診察依頼があり、かつその間を取り持つ事務員もイライラしており少し言い合いになってしまったそうです。後者は、外国人を診察する機会が多かったが何が何でも英語しか話さない患者さんや翻訳アプリを使ってもコミュニケーションがスムーズではないことにイライラする患者さんに対して怯えながら診察し、中には対応が雑になってしまったことがあったそうです。
話し合いの中で、イライラやビクビクなどの感情が揺れる場合には自分自身をメタ認知することで自分がどういった状態であるのか、自分がどのような思考の癖があるのかを把握することや、事務員や患者さんなど相手がどのような背景を持っているのかを知ることが重要であるという意見が出ました。
アンガーマネジメントとして6秒ルールが有名ですが、6秒って意外と長いですから修練を積んで上記のことが自然にできるようになりたいと思いました。