京都家庭医療学センター

京都家庭医療学センター

Kyoto center for family medicine (KCFM)

トピックス

McWhinney家庭医療、ケアの倫理、SEEAと盛りだくさん

今日のレジデントデイは、以下の3本立てで盛りだくさんでした。地域研修中の初期研修医S先生も参加し、活気ある会になりました。

1.輪読会
今日は、McWhinney家庭医療学第3章の学習でした。有名なEcology in medical careの図を参照しながら、地域における受診患者はほんの一部であることを再確認しました。そのうえで、家庭医は「患者がなぜ受診しようと思ったのか」を問うこと(受療行動の意味を問うこと)が重要であると学びました。
また、Illness behavior/受療行動(Illnessを持った人の行動)に対応するように、Problem behavior/問題行動(病気とは別に生活面でのProblemを持った人の行動)という用語を学びました。Problem behaviorと定義することで、病気以外のProblemに対するアプローチを模索できるのでは、というディスカッションがありました。

2.Active Book Dialogue
先週のレジデントデイでは、Active Book ialogueという手法を用いて岡野八代氏の著作『ケアの倫理』の読書会を行いましたが、今週も引き続き、この本の内容についてディスカッションしました。レジデントが各々の考えを発言し、Dialogueを行いました。「ケアは女性が担うもの」とされ、ケアの倫理が無視されてきた歴史的・政治的背景に想いをはせるとともに、自分の家庭内や臨床でのケアワークについて思うところを表出できました。難しい本でしたが、皆で力を併せて読み切ることができました。

3.SEEA&振り返り
頻回受診が気になった患者さんに生活背景など踏み込んだ質問をしたら逆切れされた事例、外来診療で患者さんの前で調べものをしてよいか困った事例、自身の鍼灸体験を通じて‘医療者へネガティブな治療効果を報告しづらい’という患者の想いに共感できた事例など、様々な事例が共有されました。
振り返りでは、Significant Event Analysisが一般的ですが、京都家庭医療学センターでは敢えてSignificant ‘Emotional’ Event Analysisとよび、医療者の「感情の動き」を重要視しています。自身のモヤモヤを共有し、言語化することで次に活かすことができ、有用な時間だと思います。

#レジデント・デイ #McWhinney輪読会 #読書会 #ケアの倫理 #SEEA #振り返り #家庭医療