京都家庭医療学センター

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Kyoto center for family medicine (KCFM)

トピックス

専攻医ポートフォリオ検討会報告 〜第3回グループ会議を開催〜

KCFM専攻医ポートフォリオ検討会報告
2023年10月21日土 16時〜18時半 
於;あすかい病院医局とオンラインのハイブリッド
文責 玉木

 専攻医ポートフォリオ検討会を開催しましたので、報告します。今回のプレゼンターは専攻医3年目Mさん、2年目のOさん、Uさん、Kさんの3名です。

 Mさんは、領域「他疾患併存」での発表でした。脳梗塞、血管性認知症の既往があり施設入所中の高齢女性が誤嚥性肺炎の発症を契機に胃瘻造設となりました。ADLの低い高齢者への胃瘻適応についての議論と施設に戻る上での制約下のコミュニケーションと調整がポイントとなった事例でした。

 Oさんは領域「倫理的に困難な意思決定をともなう事例のケア」でした。この事例も1例目と類似例で、脳梗塞既往で血管性認知症を有する高齢男性に対して胃瘻造設をするかどうかの意思決定をすすめる上での困難を題材にした事例でした。認知症があることと意思決定能力があるかは別に扱う必要があること、4分割で問題点を整理し、多職種で検討することを通じて意思決定につなげた事例でした。

 Uさんは領域「患者中心の医療」でした。在宅独居でHDSR14点の認知症を有する高齢女性患者が肺炎と転倒後の恥骨骨折の合併で入院されました。治療終了後にこれからの療養場所についてBPSモデルを用いて家族と議論を行いました。本人は自宅と施設入所の両価性の間で揺れておられ、そこを心理面に配慮してうまく意思決定に繋げておられました。

 専攻医の最後はKさんからの発表で領域は「チーム医療・ケアの移行」でした。PSPの診断を受けた80代男性が2度目の誤嚥性肺炎を発症され、今後の療養場所についての方針決定に対して、本人と妻の決定を多職種で支援した、という事例でした。自宅か施設かで迷われる両者と議論を重ね、神経難病であること、予後があと2ヶ月程度であること、という特性が決定打となり両者納得の上での自宅療養に戻られた経過が感動的に発表されました。

 この学習会の最後には指導医からのプレゼント講義の時間を設けています。今回はM医師からの「高血圧の治療」についてでした。高度な高血圧で初回受診された患者にどのタイミングで降圧薬を処方するべきか、についてガイドラインや個々の経験を参考に議論しました。ガイドラインでは厳密に書かれていないところを深めることができて大変楽しい議論ができました。

 KCFMではこれまではレジデントデイだけで検討してきたポートフォリオ事例について、今年度より2ヶ月に1回グループ会議をその討論の場に充てて開催してきました。

 今回も多数の参加者による事例検討を通じて、より深い理解や新たな気づきに繋がったと感じました。またこの機会を期限に設定することで専攻医もポートフォリオ作成に計画的に取り組めるというメリットがあります。この活動を是非継続していきたいです。