京都家庭医療学センター

京都家庭医療学センター

Kyoto center for family medicine (KCFM)

トピックス

「医療人類学者との症例検討会」を開催

2023年3月29日に「医療人類学者と考える医療とケア」と題して、京都民医連あすかい病院で医療人類学者との症例検討会を開催しました。2017年より医療人類学が医学部のコアカリキュラムに組み込まれ、医学生・医療者と医療人類学者が症例検討を行い、社会学的な観点から症例を再検討する試みが全国でなされています。当院でも地域の医療・介護関係者との連携促進、学習機会の充実を目的に2022年より同様の症例検討会を行っています。今回の症例検討会では、当院訪問診療で経験した困難な症例を提示した後、症例に関する問いについてグループに分かれて議論してもらい、最後に全体でディスカッションを行いました。

今日の医療は、医師が一方的に治療方針を決定するのではなく、患者と医師がやりとりを重ねる中で方針を決定しているため、医師が患者の生活に対する想像力を持ち、様々な価値観に対して偏見なく接することが重要です。本症例検討会のように医療人類学者が医療者の考え方に疑問を投げかけ、様々な価値観を持つ参加者が共に考える場は、医療者の視野を広げる良い学習機会と思われます。終了後のアンケート結果では、医療者の価値観で患者を理解しようとしていたことへの反省や、本症例検討会で気付いた自身の診療の改善点に関する記載があり、本症例検討会が参加者に自らの価値観を見直し、他者に対する想像力を働かせる機会を提供できたのではないかと推察します。

今後も医療人類学者との症例検討会を継続して開催し、医療・介護関係者だけでなく、地域住民も巻き込んだ症例検討会を行っていきたいと考えています。

キーワード:#医療人類学 #症例検討会 #事例検討会
報告:京都民医連あすかい病院 細尾 真奈美