京都家庭医療学センター

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Kyoto center for family medicine (KCFM)

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奈良へ。PC連合学会近畿地方会参加報告

2022年11月20日(日)に奈良で開催された第35回プライマリケア連合学会近畿地方会https://award-con.com/pc35kinki/ に現地参加してきましたので報告します。参加講演は
#1 総合診療医とは、その魅力と価値、将来像について
#2 幻の御守捜索大事件~神頼みを通して考える仏教と医療のプライマリ・ケア~
#3 病の治療における近年の課題と医師-患者関係の重要性
#4 折れない心の作り方~アナウンサーの視点、心理士の視点~
です。
また、口演4【生物心理社会的(BPS)  介入症例・困難症例】の座長の役も果たしてきました。
いずれもとても魅力的な講演でしたが、#2の石井均先生の講演の概要を紹介し、その感想を述べたいと思います。
冒頭で、石井先生は内科のバイブル「ハリソン内科学」に記述されている「医師は、患者が問題を抱えた個人であり、その問題はしばしば身体症状を上回るものであることを忘れてはならない。これはテクノロジーが高度に発達した現代において特に重要である。」「ケアをしていく医師にとっての本質的な特性は、共感(empathy)とおもいやり(compassion)である」という言葉を紹介します。そして、「現在私達医療者は目の前の糖尿病の患者さんをまるでHbA1cや生活習慣、合併症、外観といった切り離された部分をみて「患者さん」と捉えているのではないか?これこそが『非人間化」という行為である。」と述べます。あの優しい声と余情たっぷりの「間』によってひとつひとつの言葉がじわっと身に染み込んで来ました。
私達は患者さんを血の通う人間個人として捉え、共感し、病を思いやり、その考え方や行動を尊重し、信じることで、①信頼関係 ②empowerment ③resilienceが作られる、ということを事例を持って紹介してくれました。
共感とおもいやり。自分は表現できているか?切り取った部分で患者さんを診ていないか?改めてキャリアを積むうちに徐々に霞がかかりつつあった医師としての原点を呼び覚まされた気がしました。
Key word:医師患者関係、共感(empathy)とおもいやり(compassion)、病(illness)と疾患(disease)
京都協立病院 玉木 千里