2023年1月31日、ジェンダーフレンドリー病院を掲げる当院https://www.kyoto-kyoritsu.org/information/concept/ は、初めてトランスジェンダー当事者の方(MtFとFtMの2名)を講師に招いての学習会を開催しました。個人的に抱いた感想は次の通り。
・社会の枠組みやカテゴリー、法制、ルールというのは、本来個人や集団が社会生活を営む際により便利だったり秩序下に統制されたりするために作られたツールのはず。しかし、これらの境界線を設けることは同時に内と外に世界を分断することになり、外側にいる人を容赦なく傷つける。性的マイノリティーと呼ばれる人は男女二元論に則って作られた社会の仕組みによって自分のアイデンティティをことごとく剥がされ、自尊心を失い、まるで自分のコア(心)を死守するかのようにますます自身の内面への閉ざされに導かれる。場合によっては自分の「生」自体に価値を見い出せなくなり、精神の病に陥ったり、ときによって自傷に至ったりすることすらある。
・彼ら/彼女ら(この用語自体が二元論由来ですが、良い言葉が思いつかない)が生きるための縁(よすが)となるキーワードは「人権」。これだけは誰もどんな枠組みも侵害できない個人の最小単位。ただ、この最小単位に気づいて生きる価値に開かれる人はまだ救われるが、それに気づかず、生きていることの価値も見いだせずに自分の最も内側にある心を傷つけられる人が大勢いる。
・社会の枠組みってなんだろう?人を傷つける枠組みや人権を侵害する仕組みって一体なんなんだろう?
今回の学習会でこんなことを考えさせられました。
私達の病院は、性的マイノリティーの人たちの「人権」を守り、誰にも侵害されない居場所を確保するため、これからも学習を続け、当事者に温かいまなざしを届け、ことばかけをし、手を差し伸べられるように精進したいという思いを強くしました。
京都協立病院 玉木 千里