第18回若手医師のための家庭医療学冬期セミナー(通称:冬セミ)において、ワークショップ「臨床予測ルールの批判的吟味」を行いました。
EBMの5つのステップについては、医療者では御存知の方が多いと思いますが、そのステップを例えばmodified Wells criteriaやCHADS2 scoreのような臨床予測ルール、日常的には診断予測や予後予測のスコアリングシステム用にアレンジした吟味の仕方を学ぶワークショップです(さすがに上記の2つは有効性や限界などよく知られているので、当日はもう少しマイナーなルールを検討しました)。臨床予測ルールの文献を吟味するためのツールとしてPROBAST tool1があり、本ワークショップではこれに準拠して進めていきました。システマティックレビューのためのツールなのですが、個々の文献の吟味にも使用可能です。なお、本記事執筆時点でPROBAST toolはequator networkのサイト2では確認出来ません。
ワークショップは参加者に事前に知識の習得を中心とした課題(15分程度の動画視聴と資料の確認)に取り組んでいただき、当日は実践に重点を置く反転授業形式で行いました。過去の「夏セミ」では好評だった反転授業形式ですが、今回は課題が多いとの事後アンケートでの評価が多かったです。反転授業形式を成功させるには学習者に十分な時間を確保することが重要なのですが3、現場で働く専攻医や指導医の先生方には時間確保が難しい内容だったかもしれません。また、ワークショップの限られた時間の中で、参加者に効果的な学びの経験をしていただくためのインストラクショナルデザインの点でもまだまだ改善の余地があり、今後のワークショップに活かしていきたいと思いました。
キーワード: #冬セミ、#EBM、#臨床予測ルール、#PROBAST、#反転授業、#インストラクショナルデザイン
参考文献:
1.Wolff RF, et al. PROBAST: A Tool to Assess the Risk of Bias and Applicability of Prediction Model Studies. Ann Intern Med. 2019 Jan 1;170(1):51-58.
2.Equator network. Enhancing the QUAlity and Transparency Of health Research. https://www.equator-network.org/ (最終アクセス2023年2月8日 08:13)
3.Wortzman JR, et al. Is providing a “study hall” the key to flipped classroom effectiveness? J Grad Med Educ. 2019 Jun;11(3):355