京都家庭医療学センター

京都家庭医療学センター

Kyoto center for family medicine (KCFM)

トピックス

プライマリ・ケアにおける肺エコーによる市中肺炎診断

Lung Ultrasound Performed by Primary Care Physicians for

Clinically Suspected Community-Acquired Pneumonia

: A Multicenter Prospective Study 

Ann Fam Med 2022;20:227-236. https://doi.org/10.1370/afm.2796 

要約

目的

 プライマリケアで実施された肺エコー(US)が、胸部X線撮影と比較して、市中肺炎(CAP)の診断に有用で実行可能かどうかを調査した。これまでのほとんどの研究は、病院のセッティングで行われてきた。

方法

 12のプライマリケアセンターにおいて実施された肺エコーについて前向き観察コホート研究を実施した。 CAPを示唆する症状のある5歳以上の患者は、21人のかかりつけ医と7人のプライマリケア小児科医によって、同日に肺エコーと胸部X線の検査を受けた。プライマリケアでCAPが疑われる場合に行われる最も一般的な画像検査は胸部X線であるため、肺エコーの所見を放射線科医の胸部X線読影レポートを参照標準として比較した。それぞれの医師のエコー経験はさまざまであったが、全員が5時間の肺エコーのトレーニングプログラムを受けた。

結果

 この研究には82人の患者が含まれた。胸部X線と比較して、肺エコーの陽性所見(1cm以上のコンソリデーションまたは焦点/非対称性のBラインパターン)は、感度87.8%、特異度58.5%、陽性尤度比2.12、陰性尤度比0.21であった。結果は、各医師の以前のエコートレーニングや経験に関係なく、同等であった。

 我々は、コンソリデーションが1cmを超える患者、または肺エコーが正常所見である患者は胸部X線をスキップでき、コンソリデーションのないBラインパターンの患者(特異性が低い)は適切な管理を確実にするために胸部X線が必要になる実用的なアルゴリズムを提案する。肺エコーは一般的に10分以内に実施された。

結論

 プライマリケアにおけるポイント・オブ・ケア肺エコーは、CAPが疑われる患者の検査として有用で(多くの場合胸部X線撮影を回避できる)、短いトレーニングプログラムで十分実施可能で、検査に必要な時間が短時間で済むため、日常診療に適している。